シチリアを征服したクマ王国の物語
観たよ、観ましたよ。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』
TMSとミラクルヴォイスが配給しているフランス・イタリア合作のアニメ映画です。
実に私好みの作品でした。
原作のディーノ・ブッツァーティはイタロ・カルヴィーノと並ぶイタリア幻想文学作家。
昔から好きな作家のひとりで、『タタール人の砂漠』や『七人の使者』などを読んで、不条理な世界にくらくらした思い出があります。
この『クマ王国の物語』は子ども向けに書かれたものなので、お話はぐっとわかりやすい。しかし、その裏に透けて見える寓意や風刺にブッツァーティらしさを感じます。突然不条理な運命に直面してしまうキャラクターも彼の小説の主人公を思わせる。
で、なんといっても画ですよね。
絵本のように大胆で美しく、ちょっとユーモラスな画が動く驚きと快感。
はじめのうちは牧歌的なんだけど、怪物が出てきたり、サスペンスの要素が強くなると、がぜん不穏な雰囲気がただよう。
誇張された構図や濃く落ちる影なんかにドイツ表現主義の影響を感じました。
今回は吹替版で鑑賞。伊藤沙莉さんの好演をはじめ、なかなかすばらしかったです。
次は原語で観てみようかな。
下の写真は新宿武蔵野館のロビーで。