ウエスト・サイド・ストーリー
スティーブン・スピルバーグが監督した映画『ウエスト・サイド・ストーリー』 を観ました。
スピルバーグ、やはりすごいなぁ。
これは、1961年公開の映画『ウエスト・サイド物語』のリメイク、というより、その原作であるブロードウェイ・ミュージカル(舞台)の新たな映画化。
しかし、ミュージカルと思って観に行くとちょっと意表をつかれるというか、圧倒的に、映画でありドラマです。
ミュージカルといえば出演者が突然歌い出すイメージがあるけれど、本作は、セリフがいつの間にか歌になり、芝居がいつの間にかダンスになる。 開幕直後にジェット団が歌い踊るシーン、「いや、これが俺たちの日常なんだよ」と言われても納得してしまいそう。
ミュージカルらしい華やかなシーンもあるんですが、重要なナンバーではリアルな芝居と乖離しない緊張感のあるパフォーマンスが観られ、ドラマに引き込まれます。
画(映像)の力もすごい。計算された構図、彩度を抑えた色彩、スリリングな移動ショット(物語の背景を1カットで見せるオープニングがすばらしい)。 低い視点からのショットや俯瞰のショット、アップの多用も印象的。
スピルバーグ、こんなにアップ好きだったっけ、と思ってしまいました。
ラブストーリーではあるけれど、苦い後味が残る。社会派サスペンスドラマ映画みたいな印象。古い映画で恐縮ですが、『チャイナタウン』みたいな。
今、この映画を世に出す意義も伝わってくる。
ミュージカルでなくてもいいのでは?という気もしますね。
しかし、やはり、バーンスタインの名曲あっての作品なので、音楽シーンがなくてはなりたたない。
絶妙なバランスでミュージカル映画のスタイルにはまりきらない作品を作り上げている。
「スピルバーグがミュージカル撮ったんだ、楽しそう~」と気楽に観に行くと、がつんと衝撃を受けてしまいそうな力作です。