浜松市美術館「ハイジ展」
浜松市美術館で開催中の「ハイジ展」を観てきました。
ハイジ展公式サイト
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/artmuse/tenrankai/images/heide.html
「本気のハイジ展」と謳われたこの展覧会。
そのキャッチフレーズに違わぬ充実の内容でした。
展示スペースは原作関連とTVアニメ関連に大きく分かれています。
原作関連では、ヨハンナ・スピリの人物や生涯を知る資料、『ハイジ』の原作本や翻訳本、それに使用された挿絵などを展示。
スピリ直筆の手紙や各国の『ハイジ』の本、挿絵等が興味深く、貴重です。
日本版の挿絵では、高橋真琴が描いた美少女ハイジと美少年ペーター、蕗谷虹児が描く妙に艶っぽいハイジなどに眼を引かれました。
ハイジファンのみならず、児童文学や児童文化に関心のある人にも楽しめる内容です。
続いて、TVアニメ『アルプスの少女ハイジ』関連の展示。
「高畑勲展」でもけっこうな分量が展示されていましたが、それを上回る充実ぶり。
パイロットフィルム、企画書に始まり、ロケハンの記録、写真、スケッチなど。渡辺岳夫が現地で子どもたちと交流している写真などあって、びっくりしました。
そして、小田部羊一によるキャラクター設定、宮崎駿による場面設定・レイアウト、井岡雅宏による美術設定、高畑監督や富野由悠季による絵コンテ、アニメ原画、セル、背景画、シナリオ、アフレコ台本などなど。 アニメの制作工程をひと通り紹介するボリュームたっぷりの内容です。
ついているキャプションがいちいち的確で感心しました。と思ったら、世界名作劇場やハイジの本を書いている、ちばかおりさんが監修しているのですね。納得です。
音楽関連にもコーナーが設けられていました。岸田衿子直筆の歌詞(完成版と一部違う)や主題歌・挿入歌のメロ譜、松山祐士によるアレンジスコア、BGMのスコア、渡辺岳夫が書いたBGMリスト(の一部)などなど。こちらも初めて見るものが多く、じっくり見せてもらいました。
図録あります。展示品をすべて掲載しているわけではないですが、資料的にも価値があり、読み物としても楽しめます(残念ながら通販の対応はないそう)。
会期は9月11日までなので、気になる人はお早目に。