渡辺俊幸 シンフォニック・ガラ・コンサート
9月21日に東京芸術劇場大ホールにて開催された「渡辺俊幸 シンフォニック・ガラ・コンサート ~音楽家活動50周年の祝典~」に足を運びました。
すばらしかったです。
堪能しました。
渡辺俊幸さんの映像音楽と編曲作品を中心にしたプログラム。
プロデュースが盟友さだまさしさん。
演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。俊幸さん自身の指揮。
大河ドラマ『毛利元就』(1997)、『利家とまつ』(2002)、朝の連続テレビ小説『おひさま』(2011)と、開幕からNHK作品が続く私好みの選曲。
『おひさま』は劇中曲もメドレーで聴かせて、平原綾香さんが歌う主題歌に続く構成。平原さんの生歌で「おひさま~大切なあなたへ」を聴くのは初めてかも。フルオーケストラをバックにした歌唱が圧巻でした。
さらに、平原綾香さんの代表曲「Jupiter」を俊幸さんによる新アレンジで。導入部にホルストの「惑星」のスコアが織り込まれていて、実にドラマティックで壮大な「Jupiter」になっていました。
続いては先ごろ亡くなった渡辺宙明先生(俊幸さんのお父様)の追悼コーナー。「マジンガーZ」「秘密戦隊ゴレンジャー」「宇宙刑事ギャバン」を俊幸さんの編曲で。歌は洗足学園音楽大学の学生たちによるメモリアル合唱団。「マジンガーZ」は映画『マジンガーZ/INFINITY』ヴァージョン。「ゴレンジャー」と「ギャバン」は全くの新編曲で、ジョン・バリー風のスパイ映画っぽいムードがある「ゴレンジャー」、女声合唱が入って壮大な「ギャバン」と、俊幸さんならではのサウンドと宙明メロディの共演に胸が熱くなります。
1部の最後はNHKドラマスペシャル『大地の子』(1995)の音楽。つい先ごろも何度目かの再放送をしていた名作です。温かく雄大なメロディがオーケストラサウンドに映えます。
休憩をはさんで、2部はさだまさしさんの歌から。「主人公」と「風に立つライオン」の2曲。「風に立つライオン」は短編小説か映画みたいなドラマのある歌で、聴くうちにぐっときてしまいました。
次は俊幸さんが手がけたアニメ音楽のコーナー。『新幹線変形ロボ シンカリオン』(2018)と『宇宙兄弟』(2012)の音楽をそれぞれメドレー(組曲)で。大河ドラマとはひと味違う、アクティブで高揚感のある曲想にわくわくします。『宇宙兄弟』といえばエレキギターのサウンドが特徴なのですが、今回はシンフォニック・コンサートということでエレキはなし。宇宙の広大さと宇宙への憧れが強調された印象で、新鮮でした。
ラストはNHKスペシャル『ローマ帝国』(2004)のために書いた曲を俊幸さん自身がコンサート用に構成・編曲した組曲「ローマ帝国」。2014年にスペイン・コルドバで開催された「International Film Music Festival」で初演されたと聞いて以来、一度生で聴きたいと思っていたのですよ。壮大で美しく、ときにダイナミック、ときにエキゾティック。混声合唱も加わって盛り上がります。ドキュメンタリーというより、『ベン・ハー』のような史劇映画音楽のよう。コンサートを締めくくるにふさわしいスケールの大きな曲であり、力の入った演奏でした。
アンコールは、さだまさしさんと平原綾香さんが再び登場し、『北の国から』のテーマ曲を2人のヴォーカルで。この公演でしか聴けないスペシャルヴァージョンでした。
『北の国から』(1981~2002)の音楽は(劇中音楽も)さだまさしさんの作曲ですが、シリーズの途中からは俊幸さんが書いた曲も使われています。「れいのテーマ」や「ダイヤモンド・ダスト」という曲が俊幸さんの作曲ですね。なので、『北の国から』も俊幸さんのフィルモグラフィに数えられる作品なわけです。
私は初回放送当時からの『北の国から』ファンでもあるので(今は閉館してしまった富良野の「『北の国から』資料館」に行ったことがあるくらい)、このアンコールには感動しました。 ちなみに今『北の国から』のサントラ盤を引っ張り出して解説書を読んでいたら、倉本聰さんがさださんの「風に立つライオン」を「群を抜いた名曲」と褒めてくれたというエピソードが書かれていて、「そこで『北の国から』につながるのか」とパズルのピースがはまったような気がしたのでした。
耳も心もリッチな気分になれた、すばらしいコンサートでした。
あらためて、渡辺俊幸さん、50周年おめでとうございます!