『マルコ・ポーロの冒険』発掘上映&ゲストトーク
2月25日、川口市SKIPシティ内NHKアーカイブスで開催された「『マルコ・ポーロの冒険』発掘上映&ゲストトーク」に行ってきました。
1979年~80年にかけてNHKで全43話が放送されたアニメ『マルコ・ポーロの冒険』の上映とゲストによるトークのイベントです。
『マルコ・ポーロの冒険』はマッドハウス制作のアニメーションと実写の紀行映像を組み合わせた「アニメーション紀行」と冠のついた作品でした。
当時、毎週楽しみに観ていたんですよ。レコードも買いました。
徳間書店からロマンアルバムが発売されてるくらいで、アニメファンの間でもけっこう人気があったのです。
しかし、その後、再放送やソフト化の機会に恵まれず、聞くところによればNHKに保存されているのは第1話と最終話のみ。当時リアルタイムに観ていた人しか覚えてないという残念な状況でした。
それが、近年になって家庭用ビデオに保存されていた映像が徐々に集まり、2020年には音声の入ってない全話の映像がフィルムで発掘されたというニュースが。
https://www.nhk.or.jp/archives/hakkutsu/news/detail282.html
で、今回の上映&ゲストトークです。
いよいよ「集まった映像が観られる日が来たか!」と胸が躍りました。
定員70名のところ、無事抽選に当選して参加してきました。
上映されたエピソードは第4話、第12話、第42話。観るのは放送当時以来。
映像は家庭用ビデオデッキで録画されたものでした。ゴーストが入ったりテロップがにじんだりしてますが、絵も音も案外きれい。十分観られます。
画作りが大胆で劇画的。今のアニメでは観られないスタイルです。当時から「出崎アニメっぽいな~」と思って観てました。キャラクターデザインが杉野昭夫さんだし、入射光がばりばり入ってるし。
今観ると、りんたろう、真崎守っぽいなあと思うところもあり。要はマッドハウスっぽいです。後年の『カムイの剣』とルックスが似てる。
実写部分とアニメとのつなぎが自然でストーリーに違和感なく溶け込んでいることに感心しました。小池朝雄さんのナレーションが効果を上げています。
ゲストも含めた声優さんが豪華。今回上映の3本だと、レギュラーの3人以外に、納谷悟朗、麻上洋子、鈴木弘子、野沢那智らの声が聴ける。
マルコ役の富山敬さんはマルコの少年時代と青年時代とで声と演技を変えていましたね。さすがです。
主題歌・挿入歌の作詞作曲は小椋佳さんですが、劇中音楽は『空飛ぶゆうれい船』の小野崎孝輔さんが手がけています。
編成は厚くないようですが、民族音楽っぽい曲があったり、主題歌・挿入歌アレンジがあったりと多彩。シンプルながら詩情豊かな音楽がなかなかいい。
で、観ていて思ったのですが、これは、全部ではないかもしれないけど、毎回、音楽を録っているのでは? 同じ曲が流れないし、絵と音がみごとに合っている。
NHKは連続ドラマでも90年代まで毎回映像に合わせて音楽を録っているので、ありうることだなぁと。
ほかのエピソードも音楽に注意して観て(聴いて)みたいと思います。
トークは、アナウンサーの渡邉あゆみさんの司会で、ゲストに小椋佳さんとアジア史に詳しい立教大学教授・上田信さんが登壇。
小椋佳さんの主題歌・挿入歌作りの裏話や物語の舞台となる中央アジアの歴史や放送当時の状況などが聞けました。
ちなみに9話しか再放送されないのは、今、権利関係で中国で録った映像が放送できないからだとか。
いつの日か全話が観られることを願ってます。
「プレミアムカフェ」での放送は3月13日~15日の3日間、朝9時から。同日深夜に再放送があります。お見逃しなく~
https://www.nhk.or.jp/archives/hakkutsu/features/202301/