映画「フェイブルマンズ」
スピルバーグの新作『フェイブルマンズ』を観ました。
2時間半をまったくだれずに見せる演出力はさすがスピルバーグ。
スピルバーグの少年時代をモデルにした自伝的作品。
映画作りに熱中する少年サミー・フェイブルマンの成長物語であり、「フェイブルマンズ=フェイブルマン家」というタイトル通り、家族の物語でもある。
サミーと家族にさまざまな問題が降りかかるけれど、スカッと解決はしない。苦い後味が残る。それがいかにも「人生」という感じ。なんとなく盛り上がってないのはそのせいかな。「面白いから見て」「泣けるから見て」とは言い切れないところがある。
映画は、ふつうのハリウッド映画だったら「さあ、これから巻き返し」というところで終わる。多くの人は「その先が見たいんだよ」と思うはず。でも、その終わり方がとてもいいと思った。
これはスピルバーグの『まんが道 あすなろ編』なんだろう。挫折やつらいこともたくさんあったけれど、夢にあふれていた少年時代を思い出す。観終わって「前に進もう」という気持ちになる。
たぶん『まんが道』のような続編はないと思うけれど、これでいい。