二人の宇宙戦艦ヤマト
11月5日、東京オペラシティコンサートホールで「二人の宇宙戦艦ヤマト」夜の部を聴きました。
宮川彬良指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。
よかった!
すばらしかったです。
先行抽選でチケット取ったのですが、実は公演内容をよく把握してなくて、当日になって指揮が宮川彬良さんと知り、「え、彬良さんが振るんだ」と驚く始末。
そして、発券したら席が1階の前から2列目。
「ステージに近すぎるよ~」と思ったものの、むしろラッキーだった。
中央ブロックの左手通路側の席で、目の前がピアノ。
ピアノのスコアと奏者の手元まで見える恰好の席でした。
で、開演すると、彬良さんとヴァイオリンの篠崎史紀さん(マロさん)のトークショーが始まり、またびっくり。しかし、彬良さんならむべなるかな。
トークの内容は、同世代(1960年前後生まれ)の方なら共感するに違いない、テレビで流れていたサウンドトラックの話題で、2人の生演奏付き。まさかヤマトのコンサートに来て60年代の特撮番組の音楽が聴けるとは(笑)。
コンサートタイトル「二人の宇宙戦艦ヤマト」の「二人」は、宮川泰と羽田健太郎のことでもあるけれど、宮川彬良さんと篠崎史紀さんの「二人」という意味も込められているのだそうです。
肝心のコンサートですが、1部が宮川泰作曲の組曲「宇宙戦艦ヤマト」、2部が羽田健太郎作曲の交響曲「宇宙戦艦ヤマト」。
組曲「宇宙戦艦ヤマト」は「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト」の抜粋に『さらば宇宙戦艦ヤマト』から「大いなる愛」を加えたプログラム。宮川泰さんが晩年にコンサートで演奏していたものがベースになっています。
いつもは「序曲」「宇宙戦艦ヤマト」「出撃(決戦)」「大いなる愛」の4曲構成なのですが、今回は「直筆のスコアが発見されたので」ということで、「イスカンダル」が加えられました。
オーケストラに宮川彬良さんのピアノ、リズムセクションを加えた、シンフォニックポップススタイルの演奏。スキャットはオペラ歌手として活躍する林美智子さん。「これがヤマトの音だよな~」と思える好演でした。
第2部は1時間近くある大作、交響曲「宇宙戦艦ヤマト」。
羽田健太郎が西崎プロデューサーのダメだしをくらいながら苦心して書き上げたスコアですが、まじめに演奏するとあまり面白くないのです。ハネケンらしくない。
彬良さんは、フォルテは思い切り鳴らし、歌うところは思いきり歌い、外連味もきかせた演奏で聴衆をぐいぐい惹きつけます。
第1楽章の「イスカンダル」のメロディーは夢みるように美しいし、第2楽章に組み込まれた『宇宙戦艦ヤマト 完結編』のモティーフ(「コスモタイガー」「神殿部の闘い」「ウルクの歴史」)が原曲さながらの緊張感で迫ってくる。
あたかも「宮川泰先生が指揮していたらこうなっていたんじゃないか」と思わせる熱演、力演。
観客のみなさんが1楽章ごとに拍手したくなる気持ちがわかります。
そしてまたしてもびっくりしたのは、第4楽章のヴァイオリンとピアノの独奏が入るドッペルコンチェルト。彬良さんがピアノを弾くんだと思っていたら、娘さんの宮川知子さんがピアノですよ。
ほんの数メートル手前で演奏を観ていましたが、速いパッセージを奏でるときの集中力、強く打鍵するときの全身の力の入り具合まで伝わってきて、こちらも思わず力が入ってしまいました。魂のこもった演奏でした。
終演後は拍手が鳴りやまず、カーテンコールが2回、3回と。
アンコールは「交響組曲」版の「真赤なスカーフ」。
いやー、いいもの聴かせて&見せてもらいました。
交響曲「宇宙戦艦ヤマト」は何回か生演奏を聴きましたが、今回は格別でしたね。
会場販売のスコアも買いました。
また、どこかで再演してほしいものです。