劇伴倶楽部 > 腹巻猫ブログ > 訃報:山田太一さん

訃報:山田太一さん

訃報:山田太一さん

TVドラマ『岸辺のアルバム』『早春スケッチブック』『ふぞろいの林檎たち』などで知られる脚本家の山田太一さんが11月29日に老衰のため亡くなりました。89歳でした。

心より哀悼の意を表します。

折しも、10月に発売された『山田太一未発表シナリオ集』(国書刊行会)を読んで、感銘を受けたばかりでした。

『ふぞろいの林檎たちV/男たちの旅路〈オートバイ〉: 山田太一未発表シナリオ集』
https://www.amazon.co.jp/dp/4336074836/

テレビドラマの脚本家に注目が集まり、シナリオ集が続々と発売された80年代。私も倉本聰作品と山田太一作品をよく読んでいました。
とりわけ思い出深いのは鶴田浩二が主演した『男たちの旅路』です。
『山田太一未発表シナリオ集』には『男たちの旅路』の映像化されなかった幻のエピソード「オートバイ」が収録されています。第4部の2話として書かれたもの。なぜ映像化されなかったかというと、若い警備員・杉本陽平役の水谷豊がスケジュールの都合で出演できなくなってしまったから。「オートバイ」での水谷豊(杉本陽平)は重要な役割です。そして、ほかの登場人物では代わりにならない、ということでエピソード自体が没になったのでした。

このエピソードに限らず、『山田太一未発表シナリオ集』に収録された作品は、出来が悪かったから没になったわけではない。今読んでも、心に響く作品ばかりです。観たかったなあ。

想い出に残る作品の数々をありがとうございました。

脚本家の山田太一さん死去(ヤフーニュース)