シチリアを征服したクマ王国の物語
観たよ、観ましたよ。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』
TMSとミラクルヴォイスが配給しているフランス・イタリア合作のアニメ映画です。
実に私好みの作品でした。
原作のディーノ・ブッツァーティはイタロ・カルヴィーノと並ぶイタリア幻想文学作家。
昔から好きな作家のひとりで、『タタール人の砂漠』や『七人の使者』などを読んで、不条理な世界にくらくらした思い出があります。
この『クマ王国の物語』は子ども向けに書かれたものなので、お話はぐっとわかりやすい。しかし、その裏に透けて見える寓意や風刺にブッツァーティらしさを感じます。突然不条理な運命に直面してしまうキャラクターも彼の小説の主人公を思わせる。
で、なんといっても画ですよね。
絵本のように大胆で美しく、ちょっとユーモラスな画が動く驚きと快感。
はじめのうちは牧歌的なんだけど、怪物が出てきたり、サスペンスの要素が強くなると、がぜん不穏な雰囲気がただよう。
誇張された構図や濃く落ちる影なんかにドイツ表現主義の影響を感じました。
今回は吹替版で鑑賞。伊藤沙莉さんの好演をはじめ、なかなかすばらしかったです。
次は原語で観てみようかな。
下の写真は新宿武蔵野館のロビーで。
サンダーバード55/GOGO
「完全新作」をうたって公開中の映画『サンダーバード55/GOGO』を劇場で観ました。
オリジナル版の日本初放送は1966年。NHKでした。私は直撃世代で、『ウルトラマン』と並ぶお気に入り番組でした。
今回の映画は本放送当時イギリスで発売されていたオーディオレコード(いわゆるドラマ盤)をベースに映像化したもの。
人形やミニチュアなどを当時の技術そのままに再現しての新撮です。本当にオリジナルの雰囲気のままに仕上がっていて感涙もの。メイキングを観るとスタッフが「まったく新しいものを作るより、再現するほうが難しい」と言っていて、あえてレトロテクノロジーに挑む苦労がしのばれます。
「完全新作」とうたわれていますが、一部に旧作のフィルムも使われています。それだけに新撮部分が違和感なくなじんでいるのがすばらしい。音声は当時のレコードをベースにしているので当然モノラル。画角もスタンダードサイズというこだわりよう。いちファンに戻って楽しみました。吹替もよかった(ペネロープ役の満島ひかりさんが好演)。
これは一種のお祭り映画と言いますか、壮大なファンムービーみたいなものですね。
劇場のほか、配信でも観られますので、ファンの方はぜひご覧ください。
公式サイト ⇒ https://tb55movie.com/
2020年にRambling RECORDSから『サンダーバード』のオリジナル音源のサントラ盤が発売されています。何度目かのCD化。カヴァーも合わせるとこんなに何度も『サンダーバード』の音盤が出るのは日本だけでは?と思ってしまいます。
2022年 あけましておめでとうございます
2022年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします!