「京伴祭」のアーカイブが配信中
9月18日に京都・上賀茂神社で無観客(配信のみ)にて開催された「京伴祭」のアーカイブがYouTubeで期間限定配信中です。
下記からどうぞ(終了していたらすみません)。
https://www.youtube.com/watch?v=vLuITm5Clos
「京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL-」は作曲家の林ゆうきさんが立ち上げた、サウンドトラック専門の音楽フェス。
今回は「エピソード0」として、無観客・無料にて開催されました。
出演は、
宮崎誠(『ワンパンマン』『SPY×FAMILY』など)
高梨康治(『FAIRY TAIL』『NARUTO -ナルト- 疾風伝』など)
林ゆうき(『僕のヒーローアカデミア』『ハイキュー!!』『ポケットモンスター』など)
の3人。
それぞれの代表作、代表曲をバンドの生演奏で披露するライブなのです。
当日はリアルタイムで観られませんでしたが、アーカイブでじっくり楽しませてもらいました。
これが無料でいいの?と驚く素晴らしい内容。
アニメ音楽やサウンドトラックに興味ある方はぜひご覧ください。
来年、有観客開催されるなら、京都に行きたいなぁ。
アーカイブは期間限定だそう(いつまでかは不明)なので、お早目に。
☆「京伴祭 -KYOTO SOUNDTRACK FESTIVAL-」公式サイト
https://kyobansai.com
音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」
8月15日、東京芸術劇場で開催された「黒柳徹子のハートフルコンサート2022」に行ってきました。
黒柳徹子さんが毎年8月15日に開催しているコンサートで、今回が32回目だそうです。
演奏は東京フィルハーモニー交響楽団。指揮・角田鋼亮
第1部は前橋汀子さんをソリストに迎えてのクラシック。
ベートーベン「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第2番」
サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」
前橋さんのヴァイオリンが、一音聴いただけで惹きこまれるようなすばらしい音で、心が震えました。
トークで前橋さんが黒柳徹子さんのお父さん(ヴァイオリニスト)に習ったことがあると話すと、黒柳さんが「その話、初めて聞きました」と驚く一幕が面白かった。
第2部が本日のお目当て。 黒柳徹子さんの語りとオーケストラによる音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」です。
黒柳さんの自伝的小説に小森昭宏先生が音楽を付けた作品(構成・黒柳徹子、飯沢匡)。
レコードやCDになっていますが、生で聴くのは初めて。
2016年に小森先生が亡くなって以来、長らく上演してなかったのだそうです。
黒柳さんが小森先生の思い出や小森先生の音楽のすばらしさ、亡くなったあとの悲しい気持ちなどをお話されて、それを聞くだけで泣きそうになりました。
ちなみに黒柳さんのお父さんと小森先生のお父さんは同じオーケストラで演奏した仲。
音楽物語「窓ぎわのトットちゃん」。
あらためて生で聴くと、「録音されたものとは別もの」ってくらい胸に響きました。
まず、音楽がすばらしい。ラジオやテレビ用に書かれる曲とは違って、最初から生演奏するために書かれたスコアなので、オーケストラがふくよかにたっぷり鳴るように書かれている。
それから、メインテーマとなる「トットちゃんのテーマ」のキャッチーさ。その変奏が何度も出てきて、終わるころには頭に刷り込まれてます。トットちゃんと一緒に歌ってしまうくらい。
また、「音楽物語」というのは伊達でない。言葉よりも音楽で描写する演出で、黒柳さんの語り以上に音楽が主役になってます。ほとんど、交響詩とか交響組曲と呼んでもいいくらい。抒情的なテーマから、ユーモア、サスペンス、躍動、クラシックのパロディまで、映像音楽的なテクニックもふんだんに投入されている。描写音楽的な部分や現代音楽的な部分もある。
小森先生自身、戦争で命を失いかけた体験をしているだけに、原作に共感し、音楽的アイデアとテクニックを惜しみなく注ぎ込んだのだでしょう。
そして、全体としては、とても愛情に満ちた、心に染みる作品になっています。
小森サウンドに包まれる幸せな体験でした。
生で聴けてよかった。
ステージを観るまで真価がわからなかったです。
音楽が鳴っているあいだに黒柳さんが細かい芝居をしてるとか、トットちゃんがチンドン屋を呼ぶところでホントにチンドン屋が現れるとか、音だけ聴いてたらわからないもの。
子どもたちも楽しんで聴けるすばらしい作品でした。
ぜひ末永く上演し続けてほしいです。
フィルフィル5周年記念コンサート
14日に開催された「資料性博覧会15」にたくさんのご来場、応援、ありがとうございました!
撤収のあとは、フィルフィル(フィルム・スコア・フィルハーモニック・オーケストラ)5周年記念特別公演「TRIBUTE TO THE FILM SCORE ~FilPhil 5th Celebration~」(夜の部)に行ってきました。
フィルフィルは映画音楽を専門に演奏するオーケストラ。
「え、まだ5周年?」とちょっと驚いてます。
コロナ禍で開催が延びたので実は6周年だそうですが、もっと長く活動している気がしていました。
会場のオペラシティコンサートホールのロビーには、これまでの公演のメインビジュアルのタペストリーがずらり。並ぶと壮観です(実は全公演は聴いてない)。
パンフレットの表紙は黒地に金箔押しと気合が入ってる。
今回は昼夜2回公演。昼と夜とで一部プログロムが違う。
が、資料性博覧会があるので昼公演が聴けるわけもなく、必然的に夜公演へ。
恒例のコスプレしたお客さんもいて、開演前から気分が盛り上がります。
演奏曲を決めるために楽団員へのアンケートとSNSを利用した人気曲投票を行ったそうで、選りすぐりのプログラム。
第1部「もう一度聴きたい!みんなが選ぶあの名作たち」
第2部「ぜひ聴いてほしい!フィルフィルこだわりの名曲」
第3部「何度でも聴きたい!生誕90周年ジョン・ウィリアムズ」
の3部構成(休憩も2回)。
誰もが知ってる名曲から、ちょっと通好みの作品まで、ほかの映画音楽コンサートにないユニークさがあります。
個人的には、『スター・トレック』『ヒックとドラゴン』『ジュラシック・パーク』『シンドラーのリスト』と好きな曲が入っていて大満足。
また、オペラシティのパイプオルガンを使った「インターステラー」組曲はしびれました。2階のバルコニー席で聴いていたので、目の前からパイプオルガンの音の塊が飛んでくるような印象。さらにオーケストラの音が下から響いてきて、宇宙に浮かんでいるようなトリップ感が体験できました。
1曲目の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から終盤の『スターウォーズ』4曲、アンコールの映画音楽メドレーまで堪能しました。
フィルフィルはアマチュアオーケストラですが、団員が映画音楽ファンであるというのが強み。多少テクニック的に荒々しくても熱気と愛情がある。それに若い。今回、団員投票で選ばれた人気曲第1位が『ヒックとドラゴン』だったと知って深く感動しました。
映画音楽のコンサートというと50~60年代の定番の名作が演奏されることが多いけれど、フィルフィルでは一番古くても『スター・ウォーズ』(1977)という潔さ。現代の映画音楽に果敢に挑戦し、聴いてもらおうという気概を感じます。
代表で音楽監督も務める戸田信子さんは、Netflixのアニメ『ULTRAMAN』『攻殻機動隊SAC_2045』、今放送中のTVアニメ『RWBY 氷雪帝国』などの音楽を手がける作曲家でもある。
最新の映像音楽作りの現場を知る戸田さんがディレクションしていることもフィルフィルの大きな強みでしょう。
海外からオリジナルスコアを取り寄せて、サウンドトラックに限りなく本物に近い音をファンに届けようとする戸田さんの熱意と団員の努力が映画音楽ファンに支持され、公演を重ねて5周年(6周年)につながったと思います。
あらためて、おめでとうございます!
ヒックとドラゴン in コンサート
7月23日、NHKホールで開催された「ヒックとドラゴン in コンサート」に足を運びました。
アニメ映画『ヒックとドラゴン』の全編を上映しながら、音楽をオーケストラの生演奏で楽しむシネマ・コンサートです。
『ヒックとドラゴン』は2010年に公開されたドリームワークス制作のアニメ映画。イギリスの児童文学を原作に、ドラゴンとバイキングの少年との友情を描いた物語です。
音楽はジョン・パウエル。
演奏は、指揮・佐々木新平、神奈川フィルハーモニー管弦楽団。
よかったです。堪能しました。
ジョン・パウエルはイギリス出身で、映画『ボーン・アイデンティティー』シリーズやアニメ映画『カンフー・パンダ』などの音楽を手がける作曲家。異色のヒーロー映画『ハンコック』の音楽が記憶に残っています。
『ヒックとドラゴン』の音楽は、北欧を舞台にしたファンタジーらしく、エキゾティックな響きを含むスケール感豊かな作品。フルオーケストラがダイナミックに鳴り響くシーンが多く、聴きごたえ抜群です。弦の速いパッセージや勇壮な金管の音色、ティンパニの力強い音などぞくぞくします。
電子音を使わない生音の響きが気持ちいい。シネマ・コンサート向けの作品だなぁと思いました。
とりわけ生のよさが味わえたのは、ヒックとアスティがトゥースに乗って飛ぶシーンのヴァイオリンソロ。
美しい映像とあいまって感動的。ぐっと気持ちが入ります。
エンドクレジットの主題歌は割愛。 生演奏の音楽に差し替えて、尺も短くなってました。
歌が入るとマイクとPAのセッティングが必要になり、歌手も呼ばなければならず、手間と予算が増えてしまいます。それに、物語が終わった後、長々とエンドクレジットが流れると子どもは退屈してしまうかも。と思うと、これは仕方ないかな。
シネマ・コンサートならではの幕間の演奏もあったし、アンコールも聴けて満足です。
なんといっても映画自体がすばらしいんですよね。
子どもが楽しめる作品なので、アクションはあるけど残酷なシーンはないし、誰も不幸にならない。深刻なところもない。
でも、ヒックの成長や親子の愛情、若い世代が古い因習を破って果敢に挑戦し、新しい未来を築く姿がしっかり描かれている。爽快で後味がいい作品です。
安心して絵と音楽を楽しめるという意味でも、シネマ・コンサートにふさわしい。
親子連れの観客も目につきました。夏休みに家族で鑑賞するにはぴったりのシネマ・コンサートでしょう。
トゥース(ドラゴン)のフィギュアやぬいぐるみを連れた、熱心なファンと思われる方たちも来ていました。
『スター・ウォーズ』や007映画のシネマ・コンサートに来る客層とはひと味違っていた印象です。
これはぜひ、『ヒックとドラゴン2』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』と続けてシネマ・コンサートでやってほしいです。
ルパン三世カリオストロの城 シネマ・コンサート! and 大野雄二ベスト・ヒット・ライブ!
1月27日、東京国際フォーラムAホールで開催された「ルパン三世カリオストロの城 シネマ・コンサート! and 大野雄二ベスト・ヒット・ライブ!」に足を運びました。
「大野雄二80歳記念オフィシャル・プロジェクト」と銘打って開催されたイベントで、第1部が『ルパン三世 カリオストロの城』のシネマ・コンサート。第2部が「大野雄二ベスト・ヒット・ライブ!」という構成。
いやもう、すばらしかったです!
特に第2部のベスト・ヒット・ライブが筆舌に尽くせないくらいよかった。
第1部が前座で第2部がメインイベントと言ってもよいくらい(いやそれは言い過ぎですけど)。
「ベスト・ヒット・ライブ!」は映画・ドラマ・アニメ・ドキュメンタリー・CM…と大野雄二先生の映像音楽の仕事を総覧するプログラム。
しかも、ミュージシャンは大野雄二&ルパンティック・シックスを中心とする、大野雄二作品でおなじみのミュージシャン。
ホンモノの音、ホンモノの演奏ですよ!
(大野先生の音という意味でね)
しびれました。
大野先生本人のハモンドオルガンやエレピ、ピアノ演奏入りで「大追跡のテーマ」や「ザ・マリン・エクスプレス」や「夢の舟乗り」(『キャプテンフューチャー』)や「シークレット・デザイアー」(『スペースコブラ』)が聴けるとは。
まさに極上の体験でした。
個人的には「マー姉ちゃん」でうるっとしました。
実は『カリ城』のシネマ・コンサートは一度観てるんで、行こうか迷っていたんですが…
行ってよかった…。
第2部だけでもチケット代の価値ありました。
会場売りのパンフレットには不破了三さん入魂の大野雄二ヒストリーとコラムが掲載されているので、これも必読ですよ。